計量を一発でパスした彼は控え室で集中していた。
「練習の成果を出せば必ず勝機は見える。いつも通りにやるんだぞ!!」
檄を飛ばす会長の声も全く耳に届いていないようだ。
今日は世界王者決定戦当日。
対戦相手はデビュー以来12戦負け無しの戦績で、
KO率も83%を誇るハードパンチャー。
本来の彼であれば、歯が立たない相手だ。
しかし、彼には勝算があった。
それは1ヶ月前、台風に襲われた際に偶然に編み出された必殺の新パンチ。
あのパンチが一発でも当たれば、負ける事はあり得ないだろうと確信していた。
遂に試合開始の時間が近づいてきた。
リングへの向かう廊下で心配そうにしている会長に向かって彼はこう呟いた。
「・・・今日が俺達の輝かしい第一歩だ」と。
そして数分後、運命のゴングが鳴り響いた。

負けた(1R KO)
倒れた際の御姿から、彼は「キング」と云う名の愛称で親しまれたそうーじゃー。
完

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